脳神経外科ブログ

下を向くと頭が痛くなったり、頭痛が悪化する理由は?

2025.01.20
下を向くと頭が痛くなったり、頭痛が悪化する理由は?

「下を向くと頭がズキズキする」
「下を向くと頭痛が悪化した」

という経験をした方は多いのではないでしょうか。これらは肩こりなどが原因の可能性もありますが、副鼻腔炎という鼻の病気が原因の可能性もあります。

・鼻の不調と頭痛には関係があるのか?
・頭痛薬を飲んでも頭痛が良くならないのはなぜ?

今回は、副鼻腔炎(蓄膿症)とはどのような病気なのか解説します。
また、副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛が起こる原因や痛みの特徴、対処法も併せて解説しますので副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛を感じる方、鼻水や鼻づまりがひどくなると頭痛が起こる方は、ぜひ最後までお読みください。

副鼻腔炎(蓄膿症)とは?

蓄膿症とは?
蓄膿症とは?

『鼻副鼻腔炎診療の手引き』によると、副鼻腔炎(蓄膿症)は「鼻副鼻腔の炎症により、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽などの呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、嗅覚障害などを伴う疾患」と定義されています。

 

参考:UMIN PLAZAサービス.急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインhttps://plaza.umin.ac.jp/jrs/pdf/guideline_demo.pdf

 

簡単に言うと、鼻に炎症が起こり鼻づまりや鼻水・咳などの症状と、頭や頬の痛み、臭いの感じにくさが起こる状態です。

鼻副鼻腔炎は発症からの日数や原因によって、いくつかのタイプに分類されます。発症から4週間未満は急性鼻副鼻腔炎、発症から12週以上経過すると慢性鼻副鼻腔炎に分類されます。原因別では、ウイルス性鼻副鼻腔炎や細菌性鼻副鼻腔炎などと分類します。

副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛が起こる原因

副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛が起こる原因

副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛が起こる人は少なくありませんが、なぜ頭痛が起こるのかは完全には解明されていません。しかし、多くの患者様の状態から、次の3つの原因で頭痛が起こっているのではないかと推察されています。

 

① 膿が溜まって空気の流れが悪くなり、副鼻腔内の圧力が変化して周囲の神経が刺激される
② 副鼻腔の周囲の炎症が悪化し、周囲の神経も刺激される
③ 上あごの歯や歯ぐきに起こった炎症が、上顎洞に波及し歯性上顎洞炎を発症するために上顎神経が刺激される

副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛の特徴

副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛はズキズキしたり頭の血管が脈打つように痛むことがありますが、次のような特徴があります。

① 副鼻腔炎(蓄膿症)が改善すると頭痛も軽減する

副鼻腔炎(蓄膿症)が改善すると、副鼻腔周囲の炎症も治まるため頭痛も軽快するケースが多いです。

② 下を向くと頭痛が悪化する

下を向くと、副鼻腔に溜まった膿の位置が変わり副鼻腔内の圧のかかり方が変化して頭痛が悪化することがあります。

③ 膿が溜まる場所によって痛む場所が異なる

副鼻腔は、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つの空洞の総称で、左右一対、計8か所あります。

前頭洞:おでこの近くにあり、膿が溜まると近くにある眼神経が刺激され目やおでこの辺りが痛みます。

篩骨洞:鼻の近くにあり、膿が溜まると近くにある上顎神経が刺激されこめかみの周りや鼻の付け根が痛みます。

上顎洞:頬の近くにあり、膿が溜まると近くにある上顎神経が刺激されほほやこめかみの周りが痛みます。

蝶形骨洞:篩骨洞の奥にあり、膿が溜まると上顎神経が刺激されこめかみ周囲が痛んだり、頭が重い感じがします。

 

また、副鼻腔炎がひどくなると全ての神経に炎症が波及し、非常に激しい頭痛を伴うこともあります。

副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛の対処法

副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛の対処法

ここからは副鼻腔炎(蓄膿症)による頭痛の対処法を紹介します。ここでは次の3つの対処法をご紹介します。

①医療機関を受診し治療を受ける

副鼻腔炎が原因の頭痛は、副鼻腔炎の治療をすることで症状の改善が期待できます。具体的な治し方としては、抗生剤や膿を出しやすくする薬、炎症を抑える薬の服用、内視鏡で狭くなった通り道を広げて膿を出しやすくする手術などがあります。

②鼻うがいをする

鼻うがいは専用の洗浄液を使って鼻を洗うことで、鼻の奥に溜まった鼻水を出しやすくし症状の改善を期待する対処法です。鼻副鼻腔炎の奥にまで洗浄液が届いて溜まった膿を出しているわけではなく、鼻うがいで鼻の通りが良くなることで粘膜の状態が改善し、自然に膿が出やすくなることを期待します。あまりやりすぎると鼻の炎症が悪化することがあるため、鼻うがいを行うときは医師に相談するようにしましょう。

③頭痛薬を服用する

頭痛薬は痛みを軽減してくれますが、あくまで対症療法です。副鼻腔炎(蓄膿症)が原因の頭痛の場合には、頭痛薬だけで完治させることは難しいです。頭痛薬を服用し続けると、頭痛薬が原因で頭痛になるケースもあるため、早めに医療機関に相談しましょう。

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。自身の頭痛の原因が副鼻腔炎(蓄膿症)だと自覚している方は実はあまり多くありません。副鼻腔炎(蓄膿症)だと気付いていないこともあるでしょう。
ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、脳神経外科の観点から患者様一人ひとりに合わせて頭痛の治療を行い、耳鼻科での治療が必要な場合には近隣の医療機関を紹介しています。頭痛は原因に合わせた正しい治し方で痛みを軽減し、頭痛発作の頻度を減らすこともできますので、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。

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