
「寝ているときに頭痛で目が覚めてしまう」
「目が覚めた後も痛みが続くことがあり、辛い」
こうした症状を繰り返している方は、睡眠時頭痛の可能性があります。
睡眠時頭痛とは、寝ている間に起こる頭痛のことで、この頭痛が原因で目が覚めることがあります。
睡眠時頭痛自体は命にかかわる病気ではありませんが、頭痛によって起きてしまい睡眠が妨げられることでお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、睡眠時頭痛の症状や原因、診断基準、そして発症した際の対処法について解説します。
睡眠時頭痛の特徴

睡眠時頭痛は、脳のCTやMRI検査で異常が見つからない「一次性頭痛」のひとつです。睡眠中の特定の時間に頭痛が起こり、目が覚めてしまうことから、かつては「目覚まし時計頭痛」と呼ばれていました。
一般的には、50代以降で発症することが多いですが、若年層でも発症することがあります。寝ているときに頻繁に痛むことで、目が覚める原因となります。
睡眠時頭痛の症状
睡眠時頭痛の症状には個人差があります。患者さんの約3分の2が両側の痛みを感じ、全体的に重い「緊張型頭痛」に似た痛みを感じることが多いとされています。
一方で、頭の片側が脈打つようにズキズキと痛む「片頭痛」に似た痛みを感じる人もおり、痛みとともに吐き気を訴える人もいます。
痛みの程度は軽度から中等度のことが多いですが、そのうち約5分の1は重度の痛みを経験しています。痛みの持続する時間にも個人差があり、長い場合は4時間ほど頭痛に悩まされることがあります。また、頭痛発作は一度だけでなく頻繁に起こるのが特徴です。
睡眠時頭痛の原因

残念ながら、睡眠時頭痛の原因はまだ解明されていません。ですが、近年のMRI研究では患者さんの脳内視床下部灰白質の体積が減少していることが分かっており、これが原因の一つと考えられています。
「眠りが浅いから頭が痛むでは?」と思う方もいるかもしれませんが、眠りの深さと睡眠時頭痛には関連がないとされています。
睡眠時頭痛の診断基準
『国際頭痛分類(第3版)』では、次の4つの基準を満たす頭痛発作を繰り返すことが、睡眠時頭痛の診断基準のひとつとされています。
①睡眠中にのみ頭痛発作が起こり、目が覚める原因となる
②月に10日以上、3ヶ月を超えて起こる
③覚醒後15分以上、4時間まで持続する
④頭部自律神経症状や落ち着きのなさが関係していない
他の一次性頭痛や、脳出血などの命にかかわる二次性頭痛など、他の頭痛疾患の診断基準を満たさないことも、睡眠時頭痛と診断するための条件となります。
特に、特定の時期に片側の目の奥にえぐるような激痛が起きる「群発頭痛」との見極めは、適切な治療をするために必要です。
睡眠時頭痛以外で睡眠中に頭痛を引き起こし、目が覚める原因には、睡眠時無呼吸や夜間の高血圧、低血糖、薬の使用過多などがあるので、これらの可能性も除外し、睡眠時頭痛かどうか見極めるためには、医療機関での診察が必要です。
このように、睡眠時頭痛は自己判断が難しいため、疑われる症状がある場合は、他の病気の可能性も考慮して、必ず医師に相談しましょう。
睡眠時頭痛の対処法
睡眠時頭痛の対処法は、頭痛が起きるときにカフェインを摂取することです。たとえば、朝目覚めたときに頭が痛い場合、カフェインを含むコーヒーを飲むと、症状が和らぐことがあります。他にも紅茶や玉露茶、煎茶、ウーロン茶などの茶類や、ココア、チョコレートにもカフェインが含まれています。
また、寝る前にカフェインを摂取することは、睡眠時頭痛の予防につながる可能性があります。ただし、カフェインを夕方以降に摂取すると睡眠に影響を与えるおそれがあるため、医師に相談の上で取り入れることが望ましいです。
さらに、リチウムやカフェイン、メラトニン、インドメタシンなどの薬が、睡眠時頭痛に有効とされています。睡眠時頭痛にお悩みの方は、これらの薬の服用による治療も選択肢に入れると良いでしょう。
睡眠時頭痛の診察を受けるべき診療科

睡眠時頭痛でお悩みの場合は、脳神経外科での診察をお勧めします。
ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、睡眠時頭痛に対する検査・治療も行っておりますので、お気軽にご相談ください。当院では、脳神経外科専門医が診察を行い、必要に応じて随時MRI検査を受けることもできます。地域のかかりつけ医として、患者さんやご家族の声に丁寧に耳を傾け、最適な医療を提供できるよう心掛けております。
先述の通り、睡眠時頭痛は他の病気の可能性を排除することで診断され、適切な治療が可能となる病気です。お一人で悩まず、自己判断での対処法は避けまずは当院へご相談ください。
肥満が引き起こす2種類の頭痛
①特発性頭蓋内圧亢進症
この病気は、特に肥満傾向にある若い女性に多く見られ、肥満の女性では通常の20倍もの発症リスクがあることが分かっています。
特発性頭蓋内圧亢進症の主な症状
主な症状は下記の4つがあります。
- 継続的な頭痛
頭痛はほぼ毎日のように続き、時には吐き気や耳鳴りを伴うこともあります。頭痛の強さが変わることが多く、次第に悪化することもあります。
- 視覚障害のリスク
視神経が圧迫されることで、視野の欠損や視力低下が生じる可能性があります。症状が進行すると失明の可能性もあります。早期の診断と治療が視力を守るために重要になります。
- 女性に多い
特に妊娠可能年齢の女性に多く見られ、肥満の若い女性では発症率が通常の20倍にもなると言われています。
- 肥満との強い関連
肥満は頭蓋内圧を上昇させ、特に腹部の脂肪が胸部の圧力を増し脳への血液流れが悪化することが原因とされています。
②片頭痛
肥満の方は片頭痛を発症するリスクが高くなります。特に、中年期の女性で肥満になってから片頭痛が増えたという例が多く報告されています。
偏頭痛の主な症状
- 天候に関係なく発生
片頭痛は気圧の変化や天候に関係なく発生し、特にストレスや睡眠不足が原因になることが多いです。
- 一日中続く傾向
痛みは数時間から数日間続くことがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 高血圧との関連
高血圧が片頭痛のリスクを高める要因の一つとされており、血圧の管理が必要になります。
- 女性に多い
女性ホルモンの変動が片頭痛の発生に影響を与えるため、特に月経周期に関連して発症することが多くなります。
特発性頭蓋内圧亢進症と片頭痛は、いずれも生活の質(QOL)に大きな影響を与える頭痛の一種です。特発性頭蓋内圧亢進症は、視力障害のリスクが高いため、早期の診断と治療が不可欠です。一方、片頭痛は日常生活に支障をきたすことが多く、適切な対処法を知ることが重要です。どちらの頭痛も、生活習慣の改善や医療機関での適切な治療が求められ、特に肥満が関与する場合、体重管理が症状の改善に寄与することが多いです。ご不安な方は、当院にお気軽に相談ください。専門医が適切に診断し、治療をご提案します。
次に、当院でどのような治療を行うのかご説明します。
診断と検査

当院では、頭痛の原因を特定するために必要に応じて以下の診察・検査を行います。
- 問診
- MRI検査
- 血圧測定
- 血液検査
治療とケア
ここでは頭痛の治療法を2種類に分けて説明します。