脳神経外科ブログ

慢性硬膜下血腫

2024.07.16

今日は慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)という病気のお話です。

ヒトの脳は頭蓋骨の内側で「硬膜(こうまく)」や「クモ膜」といった薄い“膜”によって幾重にも覆われています。頭をぶつけたりすると、この膜と膜の隙間に出血することがあります。

硬膜とくも膜の間に、数週間から数か月をかけてゆっくりと血が溜まる状態を慢性硬膜下血腫といいます。若年者より高齢者に多く、多量飲酒の習慣がある人により多くみられます。「軽い」頭部打撲が原因であることが多く、症状が出るころには打撲の記憶すら忘れてしまっていることもしばしばです。

徐々に溜まった血腫は、少しずつ周辺の正常な脳を圧迫しはじめます。主な症状は、頭痛や歩行障害、認知障害、片麻痺、尿失禁などの症状が現れます。特に高齢者ではそれを“認知症”や“脳卒中”と誤診されることもあり、鑑別にはMRI等の画像検査が必要となります。

血腫の量が増加し、症状が増悪する場合には“穿頭ドレナージ術”と呼ばれる手術を行います。この手術は脳外科の手術の中でも比較的難易度の低い安全な手術です。頭蓋骨に直径1センチほどの小さな穴を開け、そこからチューブを挿入し血腫を排出します。多くの場合、正常な脳を圧迫していた血腫が取り除かれると症状が軽快します。

軽い頭部打撲であっても特に高齢者は数週間から数カ月は注意が必要です。急に認知障害や歩行障害などが現れた場合は当院にご相談ください。

気になる症状があればお気軽に、ながしま脳神経外科リハビリクリニックにご相談ください。

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