脳神経外科ブログ

脳卒中を防ぐために
― 日常の食事が「血管の健康」を守る鍵 ―

2025.11.07

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)は、日本人の死亡原因の上位にあり、発症後に後遺症を残すことも多い病気です。
しかし、脳卒中の多くは「生活習慣の改善」で予防できることが分かっています。中でも「食事」は、血管の老化を防ぐ最も身近な治療法といえるでしょう。今回は、脳卒中を防ぐために意識したい食べ物と食習慣について解説します。

1.血圧を守る「減塩」とカリウム摂取

脳卒中の最大の危険因子は「高血圧」です。塩分を摂りすぎると血圧が上がり、脳の細い血管に負担がかかって出血や梗塞を起こしやすくなります。
日本人の平均塩分摂取量は1日約10g前後ですが、脳卒中予防のためには1日6g未満が理想です。味噌汁の塩分を減らしたり、漬物を小皿1枚に控えるなど、小さな工夫の積み重ねが大切です。
また、カリウムを多く含む食材(バナナ、ほうれん草、トマト、里芋など)は、体内の余分なナトリウムを排出して血圧を安定させる働きがあります。減塩とあわせて積極的に摂りましょう。

2.血液をサラサラに保つ「青魚」と「大豆」

2.血液をサラサラに保つ「青魚」と「大豆」

血液を固まりにくくする働きのあるEPA・DHAを多く含む青魚(サバ・イワシ・サンマなど)は、脳梗塞予防に有効です。これらの脂肪酸は「悪玉コレステロール(LDL)」を減らし、「善玉コレステロール(HDL)」を増やす作用もあり、動脈硬化を防ぎます。
肉中心の食生活の方は、週2〜3回ほど魚料理を取り入れるとよいでしょう。
また、大豆や納豆、豆腐などに含まれるイソフラボンやレシチンも血管のしなやかさを保ち、脳卒中のリスクを下げる栄養素です。

3.野菜・果物で「抗酸化」と「血管の若返り」

ビタミンC・E、βカロテン、ポリフェノールといった抗酸化成分は、血管の老化を防ぎます。特に緑黄色野菜(ブロッコリー、にんじん、ピーマンなど)や果物(みかん、りんご、ブルーベリーなど)は、脳卒中予防に効果的です。
食事の最初にサラダや温野菜を食べる「ベジファースト」は、血糖値の急上昇を防ぐ点でもおすすめです。

4.水分補給も忘れずに

脱水状態になると血液が濃くなり、血栓ができやすくなります。特に高齢の方は喉の渇きを感じにくいため、こまめな水分摂取が重要です。
目安は1日1.2〜1.5リットル。お茶や水を中心に、少量ずつ回数を分けて摂りましょう。寝る前や起床後のコップ1杯も効果的です。

5.「制限」よりも「継続」を意識して

5.「制限」よりも「継続」を意識して

脳卒中予防のための食事は、特別なものではありません。塩分を控え、野菜や魚を増やす、バランスを意識した食習慣を続けることが大切です。
急に完璧を目指すより、「できることから少しずつ」取り入れるほうが長続きします。外食時も、汁物を残す・野菜の多いメニューを選ぶなど、ちょっとした工夫で血管を守ることができます。

ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、脳卒中や一過性脳虚血発作の予防を重視し、必要に応じて即日MRI検査・即日結果説明を行っています。
「最近、血圧が高め」「コレステロールが気になる」「家族に脳卒中の人がいる」――そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
脳の健康は、毎日の食卓と早めの受診から守ることができます。

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