
自宅でできる心強い治療法を詳しく解説
「群発頭痛」という言葉をご存じでしょうか。
群発頭痛は“頭痛の王様”とも呼ばれるほど痛みが強烈で、片目の奥をえぐられるような激痛が一定期間に集中して繰り返される頭痛です。
頭痛と聞くと片頭痛を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、群発頭痛は片頭痛とは発症の仕組みや痛みの特徴が異なります。そのため、正しい知識を持ち、適切な治療を受けることがとても大切です。
本記事では、群発頭痛の治療法のひとつである在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)について、最新のガイドラインに基づきながら詳しくご紹介します。
群発頭痛の治療の基本
群発頭痛の治療は大きく①発作時の治療と②発作を減らす予防治療の2本柱で行います。
① 発作時の治療
発作が始まったときには、痛みをできるだけ早く和らげる治療が必要です。
トリプタン系薬剤(注射や点鼻薬)は効果が早く、急な発作に対応できます。
これと並んで高い有効性が認められているのが酸素吸入です。
高濃度(ほぼ100%)の酸素を1分間に7〜10Lの流量で約15分吸入することで、多くの患者さんが痛みの軽減を実感しています。
② 予防治療
群発期には毎日のように頭痛が起こるため、発作を減らすための予防薬も重要です。
代表的なのはカルシウム拮抗薬(ベラパミル)で、医師の指導のもと計画的に使用します。
在宅酸素療法(HOT)とは?
酸素吸入は発作時に非常に効果的ですが、「病院に行かないと酸素を吸えない」という制約があると、発作のタイミングに間に合わないこともあります。
そこで注目されているのが在宅酸素療法(HOT)です。
自宅に酸素濃縮装置や液体酸素装置を設置し、発作が起きたときにすぐ酸素を吸入できるようにする方法です。
自宅で痛みが始まった瞬間に治療を開始できることは、患者さんにとって大きな安心につながります。
ガイドラインが示す有効性

最新の頭痛治療ガイドラインでも、酸素吸入は群発頭痛の急性期治療として「有効」と明記されています。
在宅酸素療法は病院を受診せずとも自分で治療を始められる点から、生活の質を大きく向上させる治療として位置づけられています。
ただし、在宅酸素を導入するには医師の診断と指導が不可欠です。
酸素機器の取り扱い方法や火気への注意、使用タイミングを正しく理解し、安全に使用することが大切です。
生活の工夫も大切に
群発頭痛は薬や酸素だけでなく、日常生活の工夫も重要です。
・群発期にはアルコールを控える
・長時間の入浴や喫煙を避ける
・睡眠リズムを整える
こうした習慣を整えることで発作を誘発するリスクを減らし、在宅酸素療法や薬の効果をさらに高めることができます。
まとめ
群発頭痛は非常に強い頭痛ですが、ガイドラインに基づく有効な治療法があります。
特に在宅酸素療法(HOT)は、自宅で即座に治療を開始できる心強い選択肢です。
「群発頭痛は珍しく治療法がないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
正しい診断と適切な治療により、日常生活を守ることが可能です。
もしご自身やご家族が群発頭痛かもしれないと感じたら、ためらわず頭痛専門医や神経内科に相談してください。
ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、MRIや血液検査などを行い、一人ひとりの症状に合わせた頭痛治療をご提案しています。