
「最近、頭がズキズキ痛む…しかも鏡を見ると目が赤い気がする。」
そんな症状に心当たりはありませんか?
頭痛と目の充血が同時に起こると、「疲れかな?」「目を使いすぎたせいかも」と軽く考えてしまう方も多いかもしれません。
しかしこの組み合わせ、実は命に関わる病気のサインであることもあるのです。特に片側の頭痛や目の異常が続く場合は注意が必要です。この記事では、医療の視点から目の充血と頭痛が同時に起こる背景や、見逃してはいけない病気、そして早期受診の重要性、頭痛薬と片頭痛治療薬の違いについて症状の強さに着目しながらわかりやすく解説します。
目の充血と頭痛が同時に起こる背景とは?
目が赤くなって、同時に頭もズキズキする。そんな時、「疲れてるだけかな」と思うかもしれません。でも実は、体の中で何かサインを出している可能性があります。
たとえばこのような原因が考えられます。
目の使いすぎ(眼精疲労)
長時間のスマホ・パソコン使用や読書などで目に負担がかかると、充血や頭痛が出ることがあります。症状の強さに応じて、しっかりと目を休めることが重要です。
ストレスや寝不足
自律神経のバランスが乱れて、目や頭に症状が出やすくなります。精神的負担の強さが体に現れる場合もあります。
血管や神経の異常
目や頭の奥にある神経や血管の異常が、両方の症状を引き起こすことも。
こうしたケースでは、目の充血や頭痛が「別々のこと」ではなく、共通の原因があることも多いので日常のちょっとしたサインを見逃さないようにしましょう。
見逃してはいけない病気にはどんなものがある?

目の充血と頭痛がセットで現れるとき、気をつけたい病気もいくつかあります。中には早めの治療がとても重要なものもあります。
特に注意が必要な病気の例
①急性緑内障発作
急に眼圧が上がり、目の奥がズキズキ痛む、充血やかすみ目になる、激しい頭痛や吐き気
がするなどの症状が出ることがあります。痛みの強さが急激に増すこともあり、放っておくと視力を失うこともあるので、早めの治療が必要です。
②群発頭痛
片方の目の奥が強く痛み、目の充血、涙が出る、鼻水が出るなどの症状がともないます。 男性に多く、一定期間続くことが特徴です。
③脳の病気(脳出血・くも膜下出血など)
突然「バンッ」とくるような頭痛で目の充血とともに吐き気やめまいや意識障害が起こることもあります。頭痛の強さが際立つ場合は、命に関わることもあるため、早急な対応が必要です。
少しでも「ちょっとおかしいな」と違和感や不安を感じたら、早めに病院に相談することが大切です。
なぜ早めの受診が大切なの?
「少し痛むだけだし、様子を見ようかな」と思ってしまいがちですが、早めに受診することが、早期の治療に繋がります。
早期受診の必要性
- 重大な病気の早期発見につながる
たとえば、急性緑内障は発作から数時間以内の治療で、視力を守ることができます。
- 治療の選択肢が広がる
初期の段階で治療できれば、症状の進行を防げる場合が多いです。
- 「何もなかった」と分かる安心感
受診して問題がなければ、それだけでホッとできますよね。
気になる症状があるときは、「念のため」が大切です。
当院では、目の症状をともなう頭痛についても、丁寧に検査・診察を行っているので、お気軽にご相談ください。
「頭痛薬」と「片頭痛治療薬」の違い

頭痛に悩まされると、多くの方がまずロキソニンなどの市販の鎮痛薬に頼ることが多いのではないでしょうか。しかし、頭痛の種類によっては一般的な鎮痛薬では十分な効果が得られないケースもあります。特に「片頭痛」はその典型例です。ここでは、ロキソニンなどの一般的な頭痛薬(NSAIDs)と片頭痛治療薬の違いについてご説明します。
一般的な頭痛薬(NSAIDs)について
NSAIDsとは「非ステロイド性抗炎症薬」の略で、痛みや炎症を抑える作用があります。市販されている薬の中では、バファリン・イブ・ロキソニン・ブルフェン・ボルタレンなどがよく知られています。なお、「カロナール」は正確にはNSAIDsではありませんが、副作用が比較的少なく、医師が処方する場面も多い薬です。
インターネット上では「痛み止めの効き目ランキング」などが見かけられますが、実際の効果には個人差があり、自分に合った薬を見つけることが大切です。ただし、これらのロキソニンなどの一般的な鎮痛薬は、片頭痛や緊張型頭痛に対しては十分な効果が得られないこともあります。
あくまで「一時的な対処薬」として使用し、症状が続く場合は医療機関での診察を受けることが推奨されます。
片頭痛治療薬について
近年では、「片頭痛は片頭痛治療薬で治療する」という考え方が一般的になってきました。片頭痛の治療で使用する片頭痛治療薬には、大きく分けて「予防薬」と「急性期治療薬(レスキュー薬)」の2種類があります。
予防薬
予防薬は、片頭痛の発作回数を減らすために毎日、あるいは月に一度服用するタイプの薬で、片頭痛は繰り返すうちに慢性化しやすく、脳梗塞や認知機能の低下などのリスクを高めることがあるため、早期からの予防が重要とされています。
予防薬には次のような種類があります。
- 中枢に作用するもの
(抗てんかん薬、Ca拮抗薬、β遮断薬など):大脳皮質に作用し、片頭痛を引き起こす神経活動を抑えます。
- 末梢に作用するもの
(CGRP関連製剤など):神経と血管の接合部に働きかけ、片頭痛に関与する物質をブロックします。
- 痛みの中枢に作用するもの
(アミトリプチリンなど):痛みを感じやすくなった脳を落ち着かせる効果があり、慢性頭痛や薬の使いすぎによる頭痛に使われます。
急性期治療薬(レスキュー薬)
急性期治療薬は、片頭痛が起きたときにその症状を抑えるための薬で、主に「トリプタン系」と「ジタン系」の2種類があり、これらは片頭痛に特化しており、一般的な鎮痛薬とは異なり、発作時にピンポイントで作用しますが、強さはそれぞれ違い副作用のあるものもあります。
主な薬の例としては次のような種類があります。
- スマトリプタン(イミグラン):内服・点鼻・注射と形状が選べ、即効性があります。
- リザトリプタン(マクサルト):効果発現が早く、水なしで服用可能。
- エレトリプタン(レルパックス):副作用が比較的少ない薬。
- ラスミジタン(レイボー):新しい「ジタン系」で血管収縮作用がないため、基礎疾患のある方でも使用できます
これらの片頭痛治療薬には眠気やふらつきといった副作用も報告されているため、使い始めは医師の指導のもと慎重に行うことが望まれます。
まとめ

今回は目の充血と頭痛が同時に起こる背景や、見逃してはいけない病気、そして早期受診の重要性、頭痛薬と片頭痛治療薬の違いについて解説してきましたが、いかがでしたか。
頭痛といってもその種類や重症度に応じて適切な治療法や薬の選び方が大きく変わってきます。市販薬で対応できる場合もあれば、片頭痛治療薬が必要な場合のように専門的な治療が必要なケースもありますので、繰り返す頭痛や市販薬で改善しない症状がある場合は、ぜひ一度専門の医療機関を受診してください。
ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、必要な場合にはMRI検査や血液検査、心電図検査などを行い、脳の状態だけでなく全身の症状を確認し一人ひとりの症状やお悩みに合わせた頭痛治療を行っています。つらい頭痛でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。