脳神経外科ブログ

脳脊髄液と水頭症

2024.09.02

長年、世界中の研究機関が認知症治療法の研究を重ねていますが、最新医学をもってしてもアルツハイマー型認知症などの根本的治療法は解明されていません。

そんな中で『特発性正常圧水頭症』という病気は、「治療で改善できる見込みのある認知症」とされています。
特発性正常圧水頭症のお話の前に、今回は「水頭症」という病気のお話をしたいと思います。小児や新生児でも水頭症を発症することがありますが、今回は成人に発症する水頭症にフォーカスしてお話します。

脳は、頭蓋骨の内側で幾重もの『膜(まく)』と『脳脊髄液(のうせきずいえき)』と呼ばれる液体に包まれ、外部からの衝撃などから守られています。髄液は、ほぼ無菌のとてもきれいな液体で脳の一番奥底で生成されています。脳はとてもキレイ好きで、常に清潔な髄液で脳を保護するために絶えず髄液を生成し続けています。滾々と湧き出る泉のようです。新たな髄液が湧き出る一方で、少しでも古くなった髄液は再び体内に吸収され消えていきます。成人の場合、1日に450mlもの髄液が作られています。成人の体内の髄液量は一般的に150ml程といわれていますので、1日に3回は新しい髄液に置き換わっていることになります。体内の髄液量を絶えず一定に保つためには、生成される髄液の量と吸収される量の均衡がとれている必要があります。何らかのトラブルでそのバランスが崩れ、生成量が吸収量を上回ると、脳の中心部にある『脳室』と呼ばれる髄液の貯留池に髄液が停滞し、徐々に脳室が拡大します。この脳室が拡大した状態を『水頭症』といい、周辺の脳が拡大した脳室に圧排される(押される)ことによって様々な症状が現れます。この必要以上に髄液が溜まった状態を「水頭症」といいます。
冒頭でお話した特発性正常圧水頭症は、この水頭症の1つです。

次回は特発性正常圧水頭症についてお話ししたいと思います。

ながしま脳神経外科リハビリクリニックには認知症・水頭症専門医も在籍しています。診断に欠かすことができないMRI検査も即日対応で検査を実施しています。

ご自身やご家族の方で認知症や水頭症が気になる方はお気軽にご相談下さい。
早め早めの受診で健康寿命を延ばしましょう。

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